東洋計量史資料館
文明の礎 計りからみる歴史と意匠 長野松本で守られている温故知新


 国宝・松本城に代表される長野県松本市に、日本を代表する貴重な文化遺産を後世に伝えようとしている注目すべきミュージアムがある。それが「東洋計量史資料館」である。
 ここは国内最大級の「計り」の資料館である。さまざまな用途や形状の物差しや重量計が収められており、展示品を含めた所蔵品は約1万2千点。歴史的価値のあるものから意匠を凝らしたものまで、類を見ない規模で一度に見ることができる。

 この資料館は水道・ガスメーターを製造する東洋計器株式会社により2014年11月にオープン。館長を務める土田泰秀代表取締役社長は「モノがなくなることは、技術がなくなること」との思いから、05年2月に閉館した「はかり資料館」(兵庫県尼崎市)や14年3月に閉館した「秤乃館」(三重県四日市市)から引き継いだ貴重な資料の公開とともに維持・管理に務めている。
そして、この資料館を運営している東洋計器はメーターメーカーとして革新的な新技術を開発し続けている。
 古きを守り、新しきを生み出す姿勢はまさに温故知新である。

 展示はいくつかのテーマに分かれているが、メインとなるのは「度量衡の間」で、ここでは長さをはかる「度」、容積をはかる「量」、重さをはかる「衡」に分けて展示されている。
 時代の転換期を象徴する尺とメートルを同時に計れる物差しや日本最古の針口天秤や京枡など歴史的価値の高い資料が揃っている。
 そのほか「海外の間」ではアジア、ヨーロッパ等の秤が並び、「重量計の間」「大型の間」では明治から昭和にかけて使用されていた台秤や体重計、牛馬掛秤といった大型の秤等を中心に展示している。
 また松本の産業の歴史でもある蚕糸業に関する展示もあり、シルクの等級を決める際に〝はかり〟が重要な役割を果たしていたことを知ることができる。
 計量制度は貨幣制度と並び、経済活動の根幹をなすものであり、さまざまなものを計ろうとした先人の知恵と工夫に触れてもらいたい。

 「文明は計ることから始まった」とは、日本計量史学会創始者の一人、岩田重雄博士の言葉。

(本誌取材班)