経済再生と財政健全化に向けて
(2014年1月発行World Navi)

我が国経済が直面する最優先の政策課題は、長引くデフレからの早期脱却と経済再生の実現です。このため平成24年12月の政権交代によって実現した第2次安倍政権では、日本経済の再生に向け、これまでとは次元の異なる政策パッケージとして、①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略という3つの政策を、「三本の矢」として強力に推進しているところです。
 こうした安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって、景気回復への期待感から、企業や個人の心理が大きく改善し、国内総生産(名目・実質GDP)は4期連続でプラス成長、株式市場も日経平均株価が1万5千円台を回復、円相場も1ドル=100円台となるなど、株価上昇と円安基調の好循環が続いています。
 また、残業手当などの所定外給与も6カ月連続で増加し、賃上げを行う企業も増加傾向にあるなど、デフレ解消に向けた明るい兆しも見えてきました(経済指標等はいずれも11月25日現在)。経済の順調な回復は、アベノミクスが正しい経済政策であることの証であり、政権交代の成果でもあります。
 このような中で、我が国の財政は、平成25年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が34兆円(対名目GDP比7%)、国・地方の長期債務残高が約977兆円(同201%)と見込まれるなど、フロー・ストック両面で極めて厳しい状況にあります。このため政府は、「経済財政運営と改革の基本方針」(平成25年6月閣議決定)と「中期財政計画」(同年8月閣議了解)において、「プライマリーバランスの対GDP比赤字を2015年度までに2010年度比で半減、2020年度までに黒字化し、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す」とした財政健全化目標を策定するとともに、G20等の場において国際公約とし、財政健全化に向けて着実に取り組んでいるところです。国会としても、こうした政府の取り組みを十分にチェックしてまいります。
 一方、税制については、平成24年8月に自民、民主、公明の3党合意に基づく社会保障・税一体改革関連法案が成立したのを踏まえ、平成25年10月に安倍総理大臣が平成26年4月に消費税率を8%に引き上げることを決定しました。ただし、消費税引き上げだけが先行すれば、回復過程にある景気が腰折れする懸念もあることから、5兆円規模の経済対策と1兆円規模の投資減税等を経済対策パッケージとして実行し、経済再生と財政健全化の同時達成を図ることが重要です。
 今後は、消費税引き上げによる経済への影響を十分に注視しつつ、低所得者対策の充実や価格転嫁対策の徹底を図るほか、民間投資を喚起する成長戦略の一環として、法人実効税率の引き下げについても議論を深めていきたいと思います。
 さらに、金融政策においては、日本銀行の量的・質的金融緩和によって、生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)は4カ月連続で上昇し、長期金利も0・6%前後で低位安定するなど、2%の物価安定目標の達成に向けて、所期に想定したシナリオ通りに進んでいます。
 しかし、物価のみが上昇し、雇用や賃金が改善しなければ国民の生活は苦しくなります。物価上昇が企業収益の改善を通じ、雇用の増加や賃金の上昇につながるという好循環のサイクルが実現できるよう、機動的な財政政策によってインフラ整備を加速化するとともに、大胆な成長戦略の実行によって、経済を再生していかなければなりません。
 私が委員長をしております参議院財政金融委員会におきましても、これら財政・税制・金融をめぐる政策課題に関する活発な国会論議を通じて、デフレからの早期脱却と経済再生に向けて、今後とも一層の努力を続けてまいる所存です。