戦略的パートナーシップによるアフリカ外交、大切なのは信頼と友情
(2013年10月発行World Navi)

今年、6月に横浜で行われたTICADV(第5回アフリカ開発会議)は、「躍動のアフリカと手を携えて」をテーマに大成功裡に終わりました。今後、アフリカの成長のために、民間からの投資の拡大やアフリカが抱える様々な社会問題に包括的に支援をしていくことが表明されました。
 近年、アフリカの年平均成長率は5%を超え、資源価格の高騰を背景に貿易投資はこの10年でおよそ4倍に拡大しています。今や「希望の大陸」として大きな市場を求めて国際社会の注目を集めています。一方で、アフリカは依然として紛争や貧困、飢餓、経済格差など克服すべき多くの諸課題を抱えています。
 アフリカは、豊富な天然資源や人口構成における生産年齢が相対的に若いといった利点を生かし、国際社会の援助を受けながら経済成長を維持しつつ、婦女子や貧困層等の人々に利益を享受できるような社会インフラを整備し、干ばつや気候変動による温暖化に対応するシステムをつくっていかなければなりません。
 またアフリカは、かつて植民地統治による歴史や、独立開放後も民族・部族間の対立による激しい内戦によって多くの犠牲を出してきました。また貧困や飢餓、乳幼児の死亡率が高いなどの医療事情、HIV(エイズ)の蔓延など公衆衛生の面でも問題を多く抱えています。
 教育面においても小学校の就学率がわずかに30%程度といった国もあり、また校舎もなく「青空教室」など学校建設などが急務とされています。さらにかんがい施設が整備されておらずに遠く離れたところまで水汲みに行くことが、労働力として子どもたちのルーティンとなっているなど就学を大きく妨げている要因の一つとなっています。
 農業・食糧安全保障も重要な課題の一つであります。アフリカの農業部門は多くの雇用を担っており、農業部門の開発は自給率を高めるだけでなく貧困の削減につながる重要なファクターといえます。度重なる干ばつによって生産性が低く、また世界的な食料価格の高騰など食糧安全保障の観点から、農業分野への投資を促進していかなくてはなりません。さらに気候変動にも対応した干ばつに強い農作物の品種改良やかんがい施設の整備も進めていく必要があります。
 また持続可能な経済成長の維持や、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた包摂的で強靱な社会づくりの前提となる平和と安定のために、南北スーダン問題、ソマリア沖の海賊問題、サヘル地域での諸問題等に対して国際社会がこの地域の平和と安定のために様々な支援体制を後押ししていくことが強く求められています。
 今年1月にアルジェリアのテロ事件によって日系企業が攻撃を受け、現地邦人10名が犠牲となったことは記憶に新しいが日本の民間企業がアフリカに進出していく上でも、とりわけ北アフリカにおけるテロ対策や治安の安定化は不可欠なものであります。
 これまでも日本のODAやJICAの活動は現地でも高い評価を得ているといえますが、「アフリカ外交」が積極的に行われてきたかというと決して十分とはいえない状況であります。
 今後、日本が行うべきは、教育や医療、環境(気候変動による温暖化防止)、バイオテクノロジーなど農業分野における貢献などが強く期待されます。単に人道支援ではなくアフリカの自立のために戦略的パートナーシップによるウィン・ウィンな関係を築いていくことが求められています。大切なのは「信頼と友情」であります。