教育委員会を廃止し責任ある教育行政を確立する
(2013年7月発行World Navi)

 大津市で起きたいじめによる中学生の自殺事件を契機に、教育委員会制度の抜本的な見直しを含めた地方教育行政の在り方が問われています。学校現場は、いじめや不登校、暴力行為等の問題、教育格差など様々な課題に直面しています。個別のケースに応じたきめ細やかな対応を可能にしていくためには、教育行政における責任の所在を明確にし、迅速かつ的確に対応できる体制を構築していくことが求められています。
 平成18年、60年ぶりに教育基本法の改正が行われました。当時、民主党は、対案として「日本国教育基本法案」を国会に提出しましたが、この中で教育委員会制度を廃止して首長に権限を一元化する方針を打ち出しました。今回これをベースに、政権担当時に、私が文部科学副大臣としてまとめた「地方教育行政に関するタスクフォース」での議論も踏まえて、先月「新地方教育行政法案」を議員立法としてまとめました。
 法案の主なポイントは、まず第一に権限と責任の所在を明確にすることです。現在、教員採用や任用(人事権は都道府県教育委員会、学校の設置及び管理は市町村教育委員会(設置権)、教育予算の執行権は首長と権限がバラバラになっています。これを一元化して、首長が教育行政に責任をもつ体制を整備します。
これまで教育委員会が行ってきた事務は、首長が任命する教育長(特別職)が担うこととし、教育長の任命は議会の同意人事とします。そして、小中学校の教員の人事権は市町村に移譲し、小中学校に関することは市町村の教育長、高校・特別支援教育に関することは県の教育長が担うことになります。尚、小規模の市町村については、人事等で連携協力できる規定を設けました。
 次に、現行の教育委員会制度は廃止しますが、教育の継続性、政治的中立性等を確保するために、首長の行う教育行政をチェックし評価を行うための「教育監査委員会」を新設することにしました。教育監査委員会は、選挙管理委員会等と同様に、地方自治法上の執行機関として位置付け、委員は議会の選挙によって選ばれます。教育監査委員会は、必要に応じて首長に対して勧告を行うことになります。
 第三に、学校現場で起きる様々な課題に迅速かつきめ細かく対応し、学校運営に地域住民の意向を反映するために、公立の小中学校に学校理事会を設置します。現在推進しているコミュニティースクールを発展させた形になります。学校理事会には、保護者、地域住民、学校関係者などが参画し、学級編成や教育課程等当該学校の運営に関する重要事項は、学校理事会の意向を踏まえて決定することを原則とします。学校の裁量を拡大し、地域も巻き込んだ学びの共同体を作ることで、各学校がそれぞれの状況に応じて独自性を発揮し、個性ある豊かな教育活動を展開することを可能にします。学校と地域の連携は、子どもたちの学びにとどまらず、大人の学びの拠点を創造し、地域の絆を深め、地域づくりの核になることも期待されます。
 この他にも、今後の検討課題として、児童生徒の生命身体や学習権を脅かす重大事態が発生した際の国の関与の在り方等について、更に議論を進めてまいります。
 安倍政権は教育再生を掲げ、教育委員会改革についても、具体的な制度設計の議論が、現在、中教審で行われています。来年の通常国会では、間違いなく大きな争点となりますが、今回まとめた民主党案についてしっかりと国民に訴え、議論をリードしていきたいと思います。
 今、日本が直面する最大の課題は少子高齢化、人口減少の時代を迎えたことです。今後、我が国が成長を遂げていくためには、将来の担い手たる子どもたちの教育、人材育成こそが重要です。教育は国家百年の計。党派を超えてより良い政策を実現していかねばなりません。「人づくりなくして国づくりなし」を信念に教育改革に取り組んでまいります。