土地制度の大胆な見直しが必要だ                         
(2014年10月発行World Navi)

  桶川市は、埼玉県のほぼ中央に位置し、人口約7万5千人。JR高崎線・湘南新宿ラインで上野・池袋まで約40分ということもあり、東京方面への通勤・通学に便利な住宅都市として発展してきた。
 古くは、中山道の6番目の宿場町として栄え、江戸時代後期には、農作物の集散地兼宿場町として賑わい、特に紅花は、山形の「最上紅花」に次いで全国二番目の生産量を誇り、収穫時期が比較的早いことから〝早場もの〟とも呼ばれ、多くの商人に歓迎された。
 そして現在は圏央道・上尾道路などの整備が進み、また高崎線の東京駅乗り入れが予定されるなど、首都圏の交通の要衝としてますますの発展が期待されている。
 圏央道の開通により、東名・中央・関越・東北・常磐といった各高速道路が結ばれる。そして、桶川市内には圏央道のインターチェンジが2カ所設置されることになり、恵まれた地の利を活かした企業誘致等による地域経済活性化の、またとないチャンスの時を迎えている。
 このような立地条件であることから、インターチェンジ周辺を中心に進出したいと考えている企業は多いが、当市ではインターチェンジ周辺は既存集落などにより家屋が点在し、まとまった土地を確保することが非常に困難な状況となっている。
 桶川市では、現在、5ヘクタール程度の土地を集約し、産業用地創出に向けて関係者と調整を進めているが、インターチェンジが2カ所もできるというのに、5ヘクタールというのは少ない状況である。土地を選定した過去の経緯を聞くと、農業振興地域内は転換が困難なので初めから対象外であったとのこと。農業振興地域内における大規模な農地の転用は非常に困難で、認められるには長期間を要し、さらには膨大な資料と関係機関との調整が必要となる。また、数十年を要して完了した土地改良事業区域内の農地を転用すると補助金の返還ということもある。
 農地転用にかかる事務・権限については、事務手続きの迅速性と地域の実情に応じた土地利用の観点から、従来より地方への権限移譲が求められている。国では、地方分権改革の一環として有識者会議での検討を踏まえ、平成25年12月25日に「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」が閣議決定された。しかしながら、農地転用の権限移譲については、改めて検討するということにとどまっている。
 これを受けて地方六団体(地方自治確立対策協議会 地方分権改革推進本部)においても、平成26年1月に「農地制度のあり方に関するプロジェクトチーム」を設置し、同年7月に報告書を取りまとめている。
 その内容は、「現行制度の課題」として、農地の総量確保の目標が現実と乖離していることを指摘するとともに、総合的な土地利用行政における農地に関するものの関与が大きいことが挙げられている。
また、「農地制度のあり方の見直しの方向性」「国・地方の協力による実効性のある農地の総量確保の目標管理」「農地転用許可制度・農用地区域設定制度の見直し」で具体的な方向性を提案している。
 この報告書に対する農林水産省の考え方も公表されているが、既存制度の枠を逸脱していないことが非常に残念である。
 農地制度に限らず環境や都市計画などといった各制度は、各省庁において様々な経緯を踏まえて確立されてきたものであろうが、めまぐるしく変わる時代の中において、省庁間を横断し、迅速でフレキシブルな制度に見直すべき時にきており、土地制度の大胆な見直しが必要である。
 近年、森林の荒廃による災害の危険性、不耕作農地による周辺農地への影響、管理されない空家に対する防犯・防災上の問題など、土地の適正管理という面においても様々な課題がある。今こそ、土地に係る様々な制度について、総合的に見直す時期にきているのではないか。