世界の中の日本 ─ 真の国際化とは                         
(2014年10月発行World Navi)

 私は、国民の生命と財産を守り、先人たちが築いた伝統と文化を守り抜くのが政治家の使命だと信じています。我々の社会は前例の無い少子高齢化に直面する中、1000兆円を超える国の借金を減らし、現役・将来世代の負担を減らし、持続可能な経済成長モデルをつくっていかねばなりません。
そのためには、海外との連携を深め、日本が国際社会でプレゼンスを高めることが肝要であると考えます。安倍総理が現在、歴代総理の中で最も多くの国々を訪問して実践しておられるとおり、トップアプローチは非常に重要です。
 しかし同時に、国際化が進む中、個々の日本人がグローバル社会の光と影を理解したうえで受け入れる覚悟が必要です。2020年のオリンピック・パラリンピック開催地が東京に決まり、国民は6年後に向けて世界から観光客を受け入れようと真剣に取り組み始めました。これは素晴らしいことですが、世界の中には様々な異なる生活習慣の方がおられます。こうした差異による些細な摩擦は数限りなく生じることでしょう。より深刻な問題へ目を向ければ、人とモノが国境を往来することによる、国際犯罪やテロの増加に対する厳重な警備も必要になってきます。最近話題になっているデング熱などの感染症対策も喫緊の課題です。
 また、今後経済や労働力の面では、各国の相互依存の度合いが益々高まることが予想されます。深刻な少子高齢化に直面する我が国においては、子育て支援等の政策により女性の労働市場での活躍を後押ししようとしています。しかし、日本が経済力を維持するためには、それに留まらず、例えば移民の受け入れといった方策についても真剣に検討していかなければならないでしょう。従来タブー視される傾向にあった政策課題をも議論の俎上にのせることを迫られてくるのです。
 このように、ボーダレス化が進展し地球規模で人とモノが行き来する時代になろうとしている今日、我々日本人も殻の内にこもり、周囲の変化に無関心でいられる時代はとうに過ぎたのです。
 では今日我々がめざすべき真の国際化とはどのようなものでしょうか。 
 我が国は有史以来、とかく外国の行動に対して敏感でした。島国特有の海外に対する好奇心で、古くは中国から、近現代では欧米から様々なものを吸収し、独自の発展を遂げてきました。
 ところが残念ながら、自分たちの文化を諸外国に発信することに関しては得意であったとはいえません。これは島国であるという地理的要因や、長く続いた鎖国政策のために、異文化と衝突してその差異を意識し、相互理解を深める必要に迫られる場面を経験してこなかったことによるものと考えられます。
 国際化というと、多くの人々がまず思い浮かべるのは語学の問題ではないでしょうか。国際人を育てるために、英語教育のあり方が論じられることがよくあります。しかし、真の国際化に必要な要素は英語力に集約されるものではない、というのが私の考えです。真の国際化には、自らの文化への深い理解とそれを発信する力、そして他の文化に対する理解力が必要なのです。英語は発信と理解のための道具にすぎません。
 日本人の価値観は、世界に通ずることが証明されつつあります。「おもてなし」に代表されるような日本人特有の考え方や、世界的に評価される「クールジャパン」は、日本人自身がより深くこれらを理解し守り育てることが必要です。国はそれを政策で後押し、外交努力でますます世界に発信していかねばなりません。韓国や、ヨーロッパの各国はすでにこういう試みを何十年も行っています。

 昔、吉田松陰が諸外国に対して日本人の考え方を教えに行くと言い、外国船舶に乗り込んだ情熱。この心で、私は現代において、政治の現場でこれを行いたいと思います。